2022/01/21 08:14
こんにちは!
ちひろしゃつのシャツができるまでの工程を簡単にご紹介します。
①デザインを考える
生地選び
着用シーンから、色柄、織り、素材、厚みを選んでいきます
襟
まずはシャツの顔となる襟のデザインから。ボタンダウン、レギュラー、ホリゾンタル、スタンドカラーなど。
下の写真はメンズのボタンダウンシャツです。

↓レディースのデザインのための見本着を製作したところ

レディースはシーチングでの見本を作ることはありますが、メンズは仮縫いなし、ほぼ一回の型抜きで本縫いの製作をしていきます。
レディスのボディはありますが、滅多にドレーピングはしないです。
平面パターンのみで立体的なシャツは十分作れます。ここは理論に基づいた経験と勘。
実際の仕上がり

ポケット
シャツのポケットはジャケットの内ポケットよりも体に近く密着しているので意外と使い勝手が良い。
「ドレスシャツにはポケットを付けないのが正式」というのもありますが結構便利ですので、日本のビジネスシャツにはよく付けられています。
使ったことのない方は一度試してみてください!
左はメンズ、右はレディースの、ちひろシンデレラ150サイズ用ポケット。
②製作
裁断
まずは生地を裁断していきます。
ハサミを使って細断をしていると思っていた方も多いかもしれませんが、私はローラーカッターを使っています。
「チョキチョキ」ハサミを動かしていると時間がかなりかかってしまいますし、何より生地の「地の目」が狂ってしまいます。
「ジノメ」というのは生地を構成する縦糸と横糸の交わり具合です。
「地の目が正しい」というと縦糸、横糸が正確に90度で交わっている状態で、これに対して「地の目が狂っている」という状態は生地が歪んでいる状態です。
基本的にどんな洋服を作る場合でも「地の目」は正してから作ります。これができていない状態で作ってしまうと、服のシルエットが乱れたり、形崩れしやすくなったり、洗濯後に生地が伸びてしまうことも有ります。
芯地
襟やカフスの中に入っている芯地です。なかなか見る事は無いと思いましたので動画に撮ってみました。
多くの既製品シャツでは、この芯地よりも薄手で片面をシャツ生地と永久接着する接着剤がついたものを使っています。
今回使う芯地は接着剤を使用しない「ノリなし芯」または「ふらし芯」などと呼ばれる芯地を使います。
一般的にはこちらのタイプの方がアイロンなどはかけ難いですが、接着剤によって生地の「風合い」を損なわないためオーダーシャツを作る方には好まれる傾向にあります。
ちひろしゃつでは、この両方を使い分けていますが、メンズのドレスシャツには仮貼りしたふらし芯を使い、洗濯を繰り返すうちに馴染むような手法で製作しています。
襟とカフスの製作
こちらはカフスの製作です。襟同様、ふらしの芯です。
↓こちらは襟を製作しているところです。
首の丸みに襟が添う様に癖を作りながら縫っています。
オーダーシャツの立体感のある襟はこういった技の積み重ねで作られています。

この工程はかなり重要な工程です。出来上がった際に左右が均等になる様に左右同じ力加減で縫わなければいけませんし、「いせ込み」と言われる生地を立体的で丸みが付く様な縫い方で縫っていきますので、シャツを縫う際の一番の難所で職人にとっては見せ場でもあります。
縫い
身頃に関しては前たて部分やポケット、剣ボロなどを予めアイロンを使って形を作ってから縫い始めます。
パーツの形を作ってからは、ひたすら縫い作業です。
後ろヨークと後ろ身頃を縫い付け。
↓
前見頃の取り付け。
↓
剣ボロを縫い付け。

↓
袖をつけて。

↓
裾の三ツ巻き!
ミツマキとは、とても細い縫い代で裾を仕上げる手法で、ミシンの特殊パーツに交換して縫います。

そろそろ完成が見えてきました。カフスの取り付けです。

襟の取り付け↓
左右均等につけるのが難しいところ。
完成
https://shop.yokohama-sewing-japan.com/items/57146291
ついに完成。
完成した時の「いい仕事をした感」が強いので何枚作っても病みつきになります。
今後はシャツ作りの各工程の更に細かなお話や、ブランドシャツ生地の試着レビューなども書いていきたいと思いますので、是非またご覧ください!
ショップブログ用に撮影したIGTVやYouTubeを気まぐれにアップしています。
思ったよりシャツ作りは工程が多い、時間と手間のかかる作業。
そのままを見ていただきたく、今のところほぼ無編集で、リアルにつくっている所をカメラの切り替えカットのみで部分的に撮影し、残しています。
少し専門的な部分もありますが、もしよければ見て頂けたら製作の励みになり嬉しいです。